マッハ軒

ホワイトヘッドとか、鑑賞した作品についてとか

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ある契機の決断によって他の契機にとっての与件が供されること(追記1/30)

今回は重要な箇所を長めに訳して、たしかに決断によって与件が供されるという事態についてホワイトヘッドが語っていることを確認する。 【ひとつの現実的存在を構成する四つの段階the four stages constitutive of an actual entityについて】それらは与件、…

フランク・キャプラ『毒薬と老嬢 』(1944)感想

戯曲ではなくキャプラが脚色した映画の方を観た。これはおもしろい。新婚旅行を控えた主人公が叔母の家に挨拶に行くのだが、その家を取り巻く環境がなんとも狂気的で、それでいて当人らはその狂気など気にもせず幸福そうにしているのがおかしい。主人公はそ…

前回の修正と補足

前回、私は「決断は合生過程に位置づけられないこと」を強調したが、それは不正確だ。ホワイトヘッドは決断を合生過程に位置づけて語ることもしばしばある。このことはホワイトヘッドが決断について二種類あることを主張していたことに関連する。したがって…

決断概念について~決断は合生過程には位置づけられないこと~

ホワイトヘッド研究において、決断概念がしっかりと定式化されることは少ない。他の研究者がどのようにその概念を扱っており、また扱っていないかの比較検討は必要な作業だけれど、このブログではまず内容的な部分を明らかにする方を優先する。さしあたって…

原恵一『かがみの孤城』(2022)感想

さっき映画館で見てきた。お客さんの入りはまあまあ、というか思ったより入っていた。中高生や子連れの人が多い感じ。監督の原恵一さんといえば『クレヨンしんちゃん』の映画シリーズを思い浮かべることと思うが、森絵都さんの『カラフル』をアニメ映画にし…

鈴木清順『殺しの烙印』(1967)感想

『殺しの烙印』は、鈴木清順の監督作品である。また具流八郎という脚本家グループの最初にして最後の映画作品でもある。この作品は当時の日活社内における評判が非常に悪く、鈴木はこの作品が原因で日活を追い出されたりしている。この追放に対する学生や映…

『過程と実在』研究の展望~「決断」概念に注目してみる~

もう四年くらいホワイトヘッドを読んでいるけれども、よくわからない。わかったことといえば、世界が複雑だということくらいだと思う。しかしながら、そのよくわからないものを修論で扱わざるをえないので、とりあえずの方針をまとめておこうと思う。 まず、…

再開

新年ということで、暫く凍結していたブログを解凍していこうと思う。何も更新していなかった一年半で、結構色々なことが起こった。第一希望の院試に落ちたり、髪を切ったり、卒論を出して学部を卒業したり、なんやかんや別の院に進学したり。 ブログを更新し…