マッハ軒

ホワイトヘッドとか、鑑賞した作品についてとか

ホワイトヘッド『過程と実在』〈第27回〉1-3-2

社会的秩序(social order)

  第二節では、引き続き派生的な諸概念についての説明がなされる。今回は、殊に結合体が享受するとされる(但し必然的にではないだろうが)二つの性格についてまとめたい。

 まずは「社会的秩序」からみていこう。

結合体が「社会的秩序(social order)を享受するのは、(ⅰ)その結合体に含まれる諸現実的実質のそれぞれが持つ限定性に示される共通した形相(form)の要素が存在し、(ⅱ)この結合体の諸メンバー【諸実質】をそれぞれの諸メンバー【諸実質】が抱握することによって結合体に課される条件の故に、この形相の共通する要素が結合体の各メンバーに生じ、(ⅲ)このような諸抱握が、それ自身の内に共通する形相の積極的な感じを含む故に、あの概念的再生という条件を課す場合である。

  最初に言われていることは、結合体のメンバーのそれぞれが、結合体に対して何かしらの限定をそれぞれの仕方で行いながらも、それらの限定は共通する形相を伴って行われているということを示しているといえよう。

 第二に言われていることは、共通した形相が諸実質のそれぞれに生じるのは、諸実質同士が抱握し合っていることに原因するということであろう。

 第三の記述は第二の記述をある意味で補助する。諸実質それぞれが行う抱握は、他の諸実質から形相を感取することを含んでおり、まさにそのために形相が共有されているのである。

 ホワイトヘッドがまさに、「結合体を通しての共通形相の再生(reproduction)」というのはまさに、このような結合体に含まれる諸メンバー間の相互的な抱握関係、もっと言えば「発生的関係(genetic relation)」が樹立していることに依存しているのだと考えられる。社会的秩序を伴った結合体は、そこに含まれる諸実質を通じて、各メンバーが各メンバーから形相を「伝承(inherit)」することによって生じているといえよう。

人格的秩序(personal order)

 人格的秩序が獲得されるためには、先のような社会的秩序をある結合体を享受していること、つまりある結合体が社会であることが必要とされる。またそれに加えて、先述した諸実質の発生的関係が、「継起的秩序づけ(serial orderning)」を行っている場合だという。

 この継起的秩序付けの説明として、グラフ理論のカットの例が用いられているのだが、私はこの記述をよくわかっていない。この辺りは少し調べてから追記したい。

 とにかく、人格的秩序を伴った社会は、その社会に共通する形相を、つまりその社会を「限定する性格を伝承する単線(single line)を形成する」のだという。直観的な理解だが、人格的秩序は単なる社会的秩序に比してリニアな伝承構造をもっているということだろうか。